桜庭一樹『推定少女』
- 作者: 桜庭一樹,高野音彦
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2004/09
- メディア: 文庫
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ただ、同じテーマを用いながらも決定的に異なる点がある。少女が大人に立ち向かうにあたって、この『推定少女』では実際の武器――弓矢や銃、すなわち実弾を用いているのに対し、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』ではそのタイトル通り実弾ではなく(あくまで抽象的な意味合いにおいての)砂糖菓子の弾丸しか持ち合わせていないのだ。つまり、後者のほうが前者よりいっそう少女の無力感を表しているといえ、その分テーマは深みを増している。それはすなわち桜庭一樹という作家が作家としての深みを増したと言い換えることも可能だ。ここ最近の桜庭一樹ブームはここで見られるような作家の成長という裏づけがあってこそのものだと思われるが、他作品を読んでない以上そこまでは断言できず、ただ想像するにとどめておく。