藤岡真『六色金神殺人事件』
- 作者: 藤岡真
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2000/12
- メディア: 文庫
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祭りの最中、直美の眼前で起こる殺人事件は須らく「六色金神伝紀」の見立てになっていた。中には公演中に浮かび上がった挙句壁にめり込んだり、彗星のごとく炎上して宙を舞んだり、氷漬けになった部屋の中でその氷柱に閉じ込められたりと、不可能状況ここに極まりといわんばかりの状況で死体が発見されたりする。
ここまでハッタリをかますと着地点は当然狭まってしまう訳で、謎解きは想定の範囲内のところに収束された。これは仕方のないところであろう。構成に気を使っているので単純に壁本とかバカミスとして片付けてしまうには惜しい。個人的には「六色金神伝紀」の胡散臭さとそれに絡めた事件がツボにはまり、楽しめた。傑作でもなくかといって駄作でもない、言うなれば怪作であろう。