今邑彩『暗黒祭』

暗黒祭 (角川ホラー文庫)

暗黒祭 (角川ホラー文庫)

 2003年1月購入。2年半以上放置。「蛇神」シリーズの完結編。「二匹の双頭の蛇が現れ、これが交わるとき、大いなる螺旋の力が起こり、混沌の気が動く……」という言い伝えを信じ、神聖二は日美香と武の異母姉弟二人を結び付けようとする。一方で編集者の喜屋武恵子は鏑木浩一を通じて日の本村に探りを入れる。そんな中、日美香の中である変化が……

 血の繋がり、そして遠い祖先との繋がりがキーワードとなるシリーズ完結編は尻すぼみに幕を下ろす。広げた風呂敷をたたんでしまうのだからやむを得ぬことなのだが、それにしてもこの失速感はどうだろう。作者自身がうまく着地点を見つけられなかったのかなあ。それなりに事件も起きて退屈せずに読めたのだけど、読後振り返るとどうにも平板な印象が残った。