奈須きのこ『空の境界 下』
- 作者: 奈須きのこ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/06/08
- メディア: 新書
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『空の境界』がファウスト系として捉えられることは多々あるが、その理由のひとつとしていわゆるセカイ系の作品として成立している点からであろう。物語の展開は主人公両儀式と黒桐幹也、二人の世界の中で終始し、外へと展開していくことはほとんどない。私は伝奇小説の魅力のひとつに風呂敷を広げ続けること、すなわち世界が広がっていくことにあると思っている。伝奇小説に未完の作品が多いのはこの構造の元に成り立っているところもあると思う。そういったところの認識の食い違いからどうもこの作品を純粋に「新しい伝奇小説」として捉えることができなかった。