司馬遼太郎『酔って候』
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/10/11
- メディア: 文庫
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動乱の幕末期において藩主は主役ではなかった。彼らは家臣が独自に動くのをあるいは傍観し、あるいはそのことすら知りえずにいた。司馬はこの作品でそんな歴史の明るいところから一歩引いた位置にいた人物を鮮やかに描写して見せた。表舞台に立つ坂本竜馬や西郷・大久保、新撰組だけでなくこういった人物まで描ききってしまった以上、幕末を題材にした小説を他の作家が正攻法で構築するのはよほどの難事になることであろう。日本の歴史ものを読むのは久々のことだが、十分堪能させてもらった。