北森鴻『瑠璃の契り』

瑠璃の契り―旗師・冬狐堂

瑠璃の契り―旗師・冬狐堂

 2005年1月購入。半年の放置。旗師・冬狐堂シリーズの短編集。北森鴻は長編より短編の方が断然面白い。このシリーズも長編は2作目にして既に大風呂敷を広げすぎたというか、伝奇小説的になってしまって今後の展開に一抹の不安を覚えたのだが、今作は短編集としてきっちりまとめている。また、シリーズものとしてみても、レギュラーキャラクターの過去に関わる話が多く収録されており、興味をそそる。主人公の冬狐堂こと宇佐見陶子の生き方は典型的な女性版ハードボイルドで、次々とやってくる試練に対してつっぱってつっぱり通す姿が痛々しい。甘ったるいハッピーエンドが似合わないシリーズではあるが、それでもどうにかならんかなと思ってしまう。