山田正紀『白の協奏曲』
- 作者: 山田正紀
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
無人の東京という状態を作り上げる、というコンセプトのもとで書かれた作品で、そのユニークな発想にふさわしいユニークなアイデアで作戦は遂行されていく。それ自体で十分に楽しいのだが、それぞれ思惑が異なる陣営の動きがどう絡んでくるのか、ということも物語に読者を惹きつける要素となっている。実行部隊が交響楽団員で、指揮者が作戦の指揮をとるという設定も面白い。目的が目的だけにかなり無理筋な展開ではあるし、その目的を達成するための真の動機に説得力が欠けるものの、物語それ自体の力強さで押し切っており、多少の無茶は目をつぶってしまいたくなる作品だ。