宇月原晴明『聚楽 太閤の錬金窟』

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)

 2005年9月購入。4年9ヶ月の放置。信長亡き後の天下を統一した秀吉とその甥秀次の対立という歴史タームを舞台背景とした上で、家康の服部党や秀吉の蜂須賀党といった乱波や西洋錬金術を用いるイエスズ会異端組織を絡ませて紡ぎ上げられた一大伝奇絵巻。
 異端の伴天連による聚楽第の地下に作り上げられた錬金窟で繰り広げられる秘技は、我々のよく知る歴史舞台を強烈な異化作用でもって魔窟に変えて見せる。作者の筆力も相まって、その世界観は非常に魅力的なものとなっている。