福田栄一『エンド・クレジットに最適な夏』

 2007年5月購入。3年の放置。大学生の浅木晴也は同級生の美羽のボディーガードを引き受けた。美羽は何者かにストーキングされており、心当たりのある人物も何人かいた。晴也はその人物を探ったり、美羽の側で不審者を待ち受けてみたりする。ところが、ストーキングの犯人にはなかなかたどり着かず、それどころか別の厄介ごとが舞い込んでくるのだった。行方不明になった少女を探したり、女子寮の風呂場を盗撮する犯人を追い求めたり、不倫相手とトラブった中年男性を助けたり――次々と増えゆく難題に晴也は東奔西走することになるのだった。
 事件がバタバタと立て続けに増えていくが、それでいて読みづらい印象はまったくなく、もろもろの出来事がきちんと整理された状態で提示されているので、むしろテンポよく読み進めていくことができる。パッケージ通りの青春小説的お約束も用意されており、樋口有介米澤穂信作品を好む読者であるならば、楽しめるに違いない。ただし、この二者に比べると、味付けはあっさりしておりラストなどは物足りないかもしれない。