西澤保彦『マリオネット･エンジン』

マリオネット・エンジン (講談社ノベルス)

　２００９年２月購入。５ヶ月の放置。西澤保彦初の非ミステリ短編集。仮説提示と検討というミステリ的プロセスを用いている「虫とり」のような作品もあるが、基本は「シュガー･エンドレス」や「家の中」のようなホラー系か、「テイク」や「青い奈落」のようなＳＦ色の強いものが収録されている。ＳＦ的趣向を用いたミステリ作品やフェチ的嗜好や他者に対する執拗な干渉といった異常な心理をこれまでも描いてきた作家なので、それらからミステリ要素をマイナスすれば本書のような作品が出来上がるのであろう。それなりに読ませるが、それも物足りなさを覚えるのがファン心理ではないだろうか。