柳広司『はじまりの島』
- 作者: 柳広司
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/09/30
- メディア: 文庫
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ダーウィンといえば進化論を唱え、神による人類創生を否定してのけた人物だ。人類の誕生を猿からの進化という形で提起し、神の奇跡を否定してみせたその様は、ミステリにおいて探偵が不可能犯罪という奇跡を解き明かしていく姿に似ている。その意味で、ダーウィンという歴史上の人物は探偵がはまり役であるといえる。
また、本書はダーウィン自身が科学史上で果たした役割をプロットに取り込むことによって、ひとつの本格ミステリ小説として昇華されており、したがって、ただ単に探偵役に対する着目点のみならず作品の完成度という点でもかなりのものといえる。