桜庭一樹『GOSICK6 仮面舞踏会の夜』
GOSICK〈6〉ゴシック・仮面舞踏会の夜 (富士見ミステリー文庫)
- 作者: 桜庭一樹,武田日向
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/12
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 125回
- この商品を含むブログ (121件) を見る
殺人事件の犯人は誰か、という謎のみならず、乗客たちの正体は何者か、という謎。作者は二重の謎を用意して読者の興味を引いていく。特に後者の謎の趣向は久城とヴィクトリカにとって、お互い以外の人物身元はまったく知れていないわけで、その人物たちには安易に気を許すことができないことになる。必然的に二人の絆が強まることを意味しており、本シリーズのテーマを強調することになっている。とはいえ、作者の筆致は執拗に二人の絆をアピールするようなことはなく、従来どおりのペースで物語を進行させている。シリーズが軌道に乗った故か、余裕と貫禄のようなものを感じる。