田中芳樹原案・岡崎裕信著『KLAN10 宿敵編』

 2008年6月購入。2ヶ月の放置。1巻を田中芳樹が手がけ、以降2〜4巻を霜越かほる、5〜6巻を浅野智哉、7〜9巻及び外伝を白川晶と書き手を変えてつないできたシリーズで、本書でまた著者が岡崎裕信に変更された。そしてその変更に伴い主人公像も微妙に変化したように思える。自身の能力に目覚め、虎の血族として力も格段に強くなった虎ノ介。これまでは頼りない少年であったのがここにきて一気に宿敵と互角に渡り合えるようになった。肉体面だけでなく、精神面においても。この急成長ぶりがいささか不自然ではあるものの、物語的には一気に盛り上がってきた感がある。原案のみとはいえ、田中芳樹作品は中断が多い。せめて本シリーズはこのままラストまで勢いで押し切ってもらいたいところ。