門前典之『死の命題』

死の命題

死の命題

 雪の降る山荘に閉じ込められた男女六人。婚約中の男女とその女の元カレ、篤実そうに見える医師、コミュニケーションスキルの低い作家、遅れてやってきた気障な男……。招待者の夫人は怪我で不参加と言う状況で、その全員が死に、そして誰もいなくなった。吹雪の山荘、密室殺人、ミッシングリンク、そして名探偵に寄る解決。最近流行りの言い方をするならば本格ミステリに淫してみた一作。メイントリックはバカミスというおまけ付きだ。そういった観点で見るとまずまず楽しめるのだが、文章が拙劣で特に「ヒュゥー。ハッ、ハ、ハ、ハハハ。らしいや。マッドドクターと呼ばれた美島教授だけのことはある。フフ、……アッ、ハッハハハハハ」などといった会話文における絶望的なまでのセンスのなさには興醒め。