辻村深月『スロウハイツの神様』上下

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)

スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)

 2冊まとめて。2007年1月購入。7ヶ月の放置。「スロウハイツ」ではかけ出しのクリエイターやその卵たちが暮らしている。若者たちの活気や情熱、あるいは挫折といった活動そして、恋愛・友情といった人間関係及びそれにともなう嫉妬や焦慮といった感情を描写した佳作。一方で物語が人間に与える力を賛美した作品でもあり、この根底部分はダイ・シージエの『バルザック小さな中国のお針子』に通ずる部分があるといえる。作者の拠って立つ位置が優等生的すぎるのが欠点といえば欠点。