篠田真由美『魔女の死んだ家』
- 作者: 篠田真由美,波津彬子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/10/26
- メディア: 単行本
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章ごとに切り替わる視点によるイメージ喚起が抜群にうまい。作者の持ち味である耽美・幻想的な雰囲気は「あたし」視点によるパートで存分に発揮され、あたかも母親は魔女であるかのような怪しげな印象をかもし出す。事件後の男性たちの語りでは、その母親の人物像が多角的に照らし出されて、この二つの切り口によって幻想と現実が交互に描写されていく。最後にミステリ的大技が一発炸裂するのだが、これも幻想―現実というラインを結ぶ一要素となっており、作品世界の構築という意味では一本筋が通っているといえよう。探偵役として出てくるあの人はファンサービスなのだろうが、この一本の筋という視点でみると蛇足のような気がする。