谺健二『未明の悪夢』

未明の悪夢 (光文社文庫)

未明の悪夢 (光文社文庫)

 2003年6月購入。3年半の放置。大震災に見舞われた神戸を舞台に罹災した人々の生き様、そしてそこで起きた殺人事件の謎を描いた作品。阪神大震災及びそれによって被害受けた者の描写は力が入っていてすばらしい。しかし、その迫力にミステリ部分が完全に負けてしまっている印象が強い。ミステリ作品――特に本格作品を扱った鮎川賞として刊行されたことは本書にとって不幸なことではないだろうか。