池上永一『レキオス』

レキオス (角川文庫)

レキオス (角川文庫)

 2006年1月購入。11ヶ月放置。西暦2000年の沖縄に突如出現した魔方陣。その魔方陣によって伝説の地霊「レキオス」の封印を解かんとする者、あるいはそれに巻き込まれるもの――米軍、学者、ユタ、女子高生……レキオスとはいったい何なのか?

 乱暴に一言で言うと、「沖縄的な」物語だ。それは単に沖縄を舞台にして沖縄的な素材を扱っているからと言うことではなく、沖縄文化を形成する上で重要な要素「チャンプルー」によって物語が成立していることを意味している。地理的に中国に近い点、あるいは近代以前の歴史的に琉球時代の文化風習の名残、近現代史的に米軍支配という事実、さらには国家というマクロな視点から一女子高生というミクロな視点、その家族関係、そしてSF、スパイアクション、伝奇、ラノベといった数々のジャンル……こういったさまざまな材料を「チャンプルー」することによってこの壮大な物語は成り立っている。文庫にして600ページある大作だが、それ以上の満腹感を味わえる作品だ。