東野圭吾『白夜行』
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/05/25
- メディア: 文庫
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何を書くか、でなく何を書かないかと言う点において技巧を凝らした作品。詳細に語られる昭和後期の背景がそんな筆致に見事にマッチして、昭和史の一側面も浮かび上がらせている。重厚でありながらリーダビリティーも失わずにいる点等々、そりゃ多くの著作の中から代表作の呼び声も高くなろうと言うもの。
ところで、本作品に限らず、東野圭吾はラストの閉め方――その語りのサジ具合が抜群にうまい。多くを語らず、かといって言葉足らずではない、そして読者に余情を抱かせる。読者にとって作品の評価はラスト如何に拠るところがそれなりに大きいわけで、そのラストの閉め方が絶妙であるということがこの作者の受ける高評価に大きく関わっているのではないだろうか。