鯨統一郎『あすなろの詩』
- 作者: 鯨統一郎,奥原しんこ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/10/25
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
鯨流の青春小説。主要人物たる大学生たちは恋に悩み、友人の創作の才能に嫉妬したりと、べたべたな青春の苦悩を味わう。それが結局事件の動機につながるわけだが、そのつなげ方に鯨らしさが伺える。とはいえ他作品にみられるチープ感たっぷりの鯨クオリティは本作には不足している。したがって意外にまっとうな作品だ*1。ただ、このメイントリックって前例があるはずなんだけど思い出せない。確か、安吾の『不連続殺人事件』で言及されて多様な気がするんだけど……
*1:鯨作品に限っては「まっとうな」という評価は一概にほめ言葉とは言い切れない。