栗本薫『グイン・サーガ外伝20 ふりむかない男』

 2006年1月購入。1ヶ月の放置。本編で100巻超、外伝で20巻というのは凄いな。本書は「アルド・ナリスの事件簿」シリーズの第2弾となる。レムス王による拷問によって片足を失い療養中のナリスは無聊をかこっていた。そこで耳にした奇怪な事件……
 体裁としては一応安楽椅子探偵ものということになるのだろうか。まあ、さすがに本書でその手の内容の出来不出来を気にするのもどうかと思うのでそれは措くことにする。ただ、このシリーズにおけるナリスとヴァレリウスの関係というのはまさに探偵役とワトソン役に当てはまるのだということに気づいたことに、なんともいえない新鮮さを抱いた。その発想はなかったわ
 事件の背景に本シリーズおなじみの飲料水である「カラム水」を持ってきているところはさすが世界の作り手だ。欲を言えば事件そのものにもっと絡めて欲しかった。そうすれば100巻を超える大河シリーズの世界の厚み・懐の深さをより感じることができたのに。