伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』

陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)

陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)

 人間嘘発見器の成瀬、演説の達人響野、スリの名人久遠、正確な体内時計の持ち主雪子。それぞれ個性的な特技を持つ4人は銀行強盗の常習犯だ。しかし、今回の仕事の最中に現金輸送車襲撃犯と遭遇してしてしまい、一旦は手に入れた4000万もの現金を奪われてしまう。彼らは奪還を試みるが……

 伊坂幸太郎のデビュー3作目は、相変わらずのストーリーテリングで一気に読ませてしまう仕上がりとなっている。前2作と比べ読んでいる瞬間はもっとも楽しめた。だが、『オーデュボンの祈り』のカカシや『ラッシュライフ』の好きな漢字のエピソードのように読者に深読みさせる要素が少ないため、読後感があっさりしすぎな気がしないでもない。作品が薄っぺらいというわけでは決してないのだが。