陳舜臣・錦墩『美味方丈記』

美味方丈記 (中公文庫BIBLIO)

美味方丈記 (中公文庫BIBLIO)

 2002年5月購入。3年半の放置。陳舜臣・錦墩夫妻による中国料理に関するエッセイ集。
 文化というものは拡散し、浸透していくというのがよくわかる1冊だ。今では比較的ポピュラーだが、刊行当時(1973年。私はまだ生まれていない)は日本の一般人にはほとんど知られていなかった苦瓜(ゴーヤ)について触れてみたりしているのだから。
 驚くべきは烏龍茶。これは今の日本ではゴーヤに比べてもはるかに浸透している。ところが、この本の刊行当時はまったく知られていなかった飲み物なのだから。私の記憶では、今から20年位前に初めていわゆる清涼飲料水として登場してきたはずだ。今でもコンビニなどで普通においてあるサントリーのあれだ。
 これを思うと本書で登場したほかの食物もやがて日常で食されるものになるのかもしれない。「鳳爪竜衣」*1とか。「火鏡柿」*2は食べてみたいなあ。

*1:鳥の足と蛇の肉のスープ。いつか蛇料理がポピュラーになるかもしれない

*2:「フォシンチ」と呼ばれる。小型のトマト様のフルーツで硬からず軟らからずでたいそう美味らしい