桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』
- 作者: 桜庭一樹,むー
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2004/11
- メディア: 文庫
- 購入: 8人 クリック: 847回
- この商品を含むブログ (501件) を見る
結果として過大な干渉を受けた藻屑は悲劇的な結果を迎えることとなるのだが、そこにあるのは子供は大人によって押さえらつけられた存在であり、決してそのくびきからは逃れられないという現実だ。
だからこそなぎさは早く社会に出て自立することを望む。このあたりは思春期の少年少女を扱った小説としては王道といえるテーマであるが、結末の残酷さは出色ものだ。カバー折り返しの紹介文にいわせると「暗黒青春ミステリー」ということになる。
だが一方で大人との距離が藻屑とは最も遠い位置にある友彦は藻屑の死を受けて変わっていく。この辺の対比は鮮やか。ネタバレ承知で書かせてもらうが、「死」というものの重さ、「死」というものの存在感をきっちりと描いており、ライトノベルということで敬遠してしまうにはもったいない作品といえよう。