霞流一『火の鶏』

火の鶏 (ハルキ・ノベルス)

火の鶏 (ハルキ・ノベルス)

 2003年4月購入。2年少々の放置。「奇跡鑑定人」シリーズ第3弾なのだが、これまでの文庫書き下ろしスタイルではなく新書で刊行。何故だ?

 普通に「火の鳥」と書けば不死鳥を連想したりして崇高なイメージが沸くが、鳥を鶏に変えただけでものすごく滑稽なものに変化する。作中人物の城堂舞門は自然食品を推奨するその流れで東洋医学にまで言及するが、東洋医学は一歩進めるだけで容易に神秘思想にまでたどり着く。その一方で、あろうことか焼き鳥に見立てられた死体が登場したりする。まさにバカミスなのだが、この崇高→滑稽の落差が作品における肝の部分を支配していたりして侮れない。