倉知淳『ほうかご探偵隊』

ほうかご探偵隊 (ミステリーランド)

ほうかご探偵隊 (ミステリーランド)

 2004年11月購入。9ヶ月の放置。小学5年生の藤原高時のクラスで起きた不要物連続盗難事件。クラスメイトの描いた絵、ニワトリ、招き猫型募金箱、そして高時の笛――高時は友人の龍之介、飼育係の成見沢めぐみ、そしてひそかに恋焦がれる吉野明里たちと事件を解決すべく捜査を始めることにした。

 倉知の飄々とした文体がミステリーランドの対象とするところとひどくマッチしている。事件自体も主人公たちの周辺にあわせたもので以前とりあげた麻耶の作品と比べる(比較対象としては相応しくないかもしれないが、それを差し引いても)と安心して読める。ただ、最後の章は明らかに蛇足であろう。探偵役の龍之介が事件解決に向けて画策するが、それがかえって混乱を招くあたり、なるほど事件というものは生き物なのだなあと感心した。