金城一紀『GO』

GO (講談社文庫)

GO (講談社文庫)

 2003年3月購入。1年3ヶ月放置。
 『杉原』という通称名を持つ「僕」は日本で生まれ日本で育ちながら日本人とは異なる<<在日>>と呼ばれる存在だ。それゆえいわれない差別を受け、喧嘩の絶えない毎日を送る。そんな日常の中で『桜井』という美少女と出会い、恋をする。もちろん彼女は<<日本人>>。「僕」は自分の国籍を伝えずにいるが……


 人と人がコミュニケーションをとる際にいくつもの壁が存在する。本書のテーマでもある「国籍」の壁はもちろん、友人同士の「主義主張」の違いによるもの、父と子の間の「世代」の違い、そして「男女」の壁。
 どうすればそのような壁を越えることが出来るか。差別を受ける主人公は自分の境遇に卑屈になることなくまっすぐに生きる。そのために友人や父と、時には殴りあうことも辞さない。そんな生き方がさわやかでもあるし、かっこいい。