森博嗣『どきどきフェノメノン』

どきどきフェノメノン

どきどきフェノメノン

 2005年4月購入。1ヶ月ちょっとの放置。この間のオフ会に目印として使用された本。幹事氏も含め誰一人として読んでないといういわくつき。それなら読んでやろうと積読の山から手に伸ばした次第。画像は黄色いけど、実際のカバーは薄い緑色。

 最近の森博嗣ということであまり期待しないで読んだのがよかったのか、まあまあ楽しめた。そういう風に構えて読書をするというのは邪道であるが、そこはそれ。

 森作品で多く見られる少し変わった研究者・窪井佳那と周囲の男性達の間に生まれる「どきどき」な出来事。いわゆる恋愛ものの部類にはいるのだろう。漫画「いちご100%」や「ラブひな」のシチュエーションをひっくり返して女性視点にした感じ――と思わせておいて、ラストの落ちを見ると実はひっくり返っていたわけでもないのだという話。

 結局最後に佳那はある男性と結ばれる。その際にその男性に惹かれた部分の説明が軽くあるのだが、どうにもピンとこない。佳那がいわゆる「森作品で多く見られる少し変わった研究者」だからなのかという気もするが、テーマが恋愛だから説明では割り切れないのではないかという気も。

 結局恋愛の決め手は理屈ではなく「どきどき」という感情にある。そういったことなのかもしれないが、森作品の主題に恋愛的なものは求めてないというのが正直なところ。いったい森博嗣はどこへ向かっていくのか。