田中芳樹原案『七都市物語 シェアードワールズ』

七都市物語 シェアードワールズ (トクマ・ノベルズ)

七都市物語 シェアードワールズ (トクマ・ノベルズ)

田中芳樹のSFシリーズの世界をもとに、四人の作家が競作。

ジブラルタル海峡攻防戦」 小川一水
「シーオブクレバネス号遭難秘話」 森福都
「オーシャンゴースト」 横山信義
「もしも歴史に……」 羅門祐人

以上4編。小川、羅門は同じ田中の『灼熱の竜騎兵』のシェアードワールドで作品を読んだことがあったが、他の二人は始めてお目にかかる作家。
まあ、ぶっちゃけると、田中の本編のがはるかによかった。仕方ないっちゃあ仕方ないのだが。ただ、それぞれ特徴が出ていてその点はよかったかな。
田中の苦手とする技術面を描いた羅門、本来の自分のフィールドに近い海戦ものに焦点をすえた横山、元設定を活かした話を築き上げた森福。そして、本来の田中の世界に真っ向から迫った小川。
人物造詣(特に男女の恋愛関係)が少々淡白な描き方になった気がするが、小川には期待できるかな。もっとも、個人作品がすでにそれなりの評価を受けてる人だからいまさら期待という表現は失礼かもしれんが。田中芳樹の名前を借りず、オリジナルで十分勝負できる人なんだからこういった企画ものに参加するのはもったいないない気がする。
もちろん他の作家さんも。自分の作品で勝負して欲しい。
あとは田中芳樹本人が書けばいいのだから。