三津田信三『禍家』

禍家 (光文社文庫)

禍家 (光文社文庫)

 2007年7月購入。3年1ヶ月の放置。両親を事故で亡くし、祖母に引き取られることになった少年が引越し先の家で怪異にあう話。作者はホラーとミステリをハイレベルで融合させた作風で知られる。本書はミステリ的な仕掛けや演出があるものの、ホラーの方に軸足が設定されている。そしてそのホラー的要素もただ「怖い」だけでなく、少年の現在置かれている背景に密接に絡んでいたり、あるいは怪異に遭遇し乗り越えていくことによる成長がきちんと描かれていたりと、物語そのものを綺麗に成立させることに寄与するところが非常に大きい。