田中芳樹原案・荻野目悠樹著『野望円舞曲7』

野望円舞曲〈7〉 (徳間デュアル文庫)

野望円舞曲〈7〉 (徳間デュアル文庫)

 2007年8月購入。1ヶ月の放置。原案を担当した田中芳樹といえば『銀河英雄伝説』があまりにも有名だが、本書の主人公コンビたるエレオノーラとベアトリーチェの二人の関係は『銀英伝』の某登場人物の関係を髣髴とさせる。『銀英伝』におけるコンビの関係は悲劇的な展開が待ち受けており、結果として崩壊するのだが、本書のコンビに関してはそれとは違う展開をみせる。そしてその展開は、もしもあのキャラクターがあのような悲劇的な結末を迎えていなかたっら……という、『銀英伝』ファンなら抱かずにはいられない想いを意識して作られているかのようだ。あくまで母の敵を討つために父の支配する国家を打倒したエレオノーラ。その結果として手に入れたもの、失ったものがそれぞれあり、今後はその失ったものに対する感情こそが重要な展開となってくるであろう。
 また、本シリーズでは「経済」が重要なファクターとなっている。エレオノーラの属する国家オルヴィエートは経済的支配力によってのみ宇宙に君臨する大国家たりえている。また、エレオノーラがその国家を打倒するのに用いる手段は武力よりも経済力、武力的侵攻ではなく経済的攻撃だ。このあたりの設定はやはり『銀英伝』における経済国家フェザーンの特徴を活かしきれなかった点を踏まえているのだろう。そしてそれを描くことを可能にしたのは作者が荻野目悠樹にバトンタッチしたからだ。田中作品の原案作品あるいは丸投げ作品は批判対象となることが多いが、本書に関しては原案に徹して丸投げしたことは明らかにプラスになっているといえよう。もちろんその功績は丸投げした田中にあるのではなく、作品を仕上げた荻野目の方にこそあるのだが。

栗本薫『グイン・サーガ115 水神の祭り』

水神の祭り―グイン・サーガ〈115〉 (ハヤカワ文庫JA)

水神の祭り―グイン・サーガ〈115〉 (ハヤカワ文庫JA)

 2007年8月購入。1ヶ月の放置。ちょいエロめの表紙の最新刊。水神の祭りが始まったタイス脱出に向けてなにやら策をめぐらすグイン一行。相変わらずストーリーの進行は遅く、また、タイス編というべくこのシリーズの見所となるはずであろう最強の戦士・ガンダルとの対決も今巻ではまだ行われない。今巻は特に見せ場が少なく、物語的には枝道であろう部分でこのテンポはいかがなものか。

 先月買ったものも含めて。漫画は読了済み。

ONE PIECE 47 (ジャンプコミックス)

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アイシールド21 26 (ジャンプコミックス)

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