道尾秀介『向日葵の咲かない夏』
- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
- クリック: 24回
- この商品を含むブログ (150件) を見る
暗く陰鬱な雰囲気で子供のつらさ、そして残酷さを描いており個人的に非常にツボにはまる作品だった。ただしその暗さに救いを求めるかのようなラストは逆に蛇足に思える。妹のミカが聡明すぎる気がしたがそれも真相を知って納得できるものになる。
帯にて不条理ミステリとうたっているが、そのへんはよくわからなかった。これって不条理か?
ところで、伊坂幸太郎(1973生まれ)、舞城王太郎(1973生まれ)、そしてこの道尾秀介(1975年生まれ)といった1970年代中頃に生まれた作家には作品をつぐむ上である傾向が見て取れるような気がする。というのは「ミステリ*1」を「ミステリ」としてジャンル内作品を作り上げるのでなく、そのジャンルを利用して物語を構築していくといった手法をとっているようにみえるのだ。上の世代、特に新本格第一世代などはあくまで「ミステリ」の手法にのっとり「ミステリ」を書くようなジャンルに対するこだわりが感じられるのとは対照的だ。この世代は今後注目していきたいと思う。
*1:あるいはホラーなど他ジャンル