荻原規子『西の善き魔女Ⅰ セラフィールドの少女』

西の善き魔女〈1〉セラフィールドの少女 (中公文庫)

西の善き魔女〈1〉セラフィールドの少女 (中公文庫)

 購入日不明。文庫落ち即買いの流れではなく、2巻と同時購入したのでおそらく2005年1月あたりではないかと。とすると丸1年放置していたことになる。
 村の外れに住む天文学者の娘フィリエルは友人のマリエとともに人生初の舞踏会に向かう。胸には母の形見である首飾りが輝く。ところが、その首飾りのおかげでグラール王家の後継争いに巻き込まれることとなる。フィリエル出生の秘密、そして父の失踪。さらには幼馴染ルーンの誘拐……。突如訪れた運命の波に揉まれながら、彼女はその運命に立ち向かうことを決意する。
 出生に謎を持つ少女とその幼馴染の少年。舞踏会にハンサムな騎士、さらには女王の後継者争いと、王道を行く設定で真っ向から挑んだファンタジーに仕上がっている。失踪した父の行方や王家の争いの行く末、さらにはまだほのかな気配が漂うに過ぎない恋の行方などがどう進んでいくのか非常に楽しみなシリーズだ。
 なお、タイトルの『西の善き魔女』といえば殊能将之の『こどもの王様』で主人公の友人が作る物語にも登場していた。元ネタは『オズの魔法使い』の西の魔女らしいがこれは悪い魔女だ。さらに元となるネタがありそうだが、浅学非才の身にはわかりかねた。