山田風太郎『奇想小説集』
- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/09
- メディア: 文庫
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戸松淳矩『剣と薔薇の夏』
- 作者: 戸松淳矩
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/05/25
- メディア: 単行本
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事件の<謎>それ自体よりも当時のニューヨークという街の描写やサムライ使節団の様子が読み応えがあり、歴史小説の一種として非常に楽しめる一冊だ。ミステリレベルでも日本人とアメリカ人という人種の違いが一つのポイントとなっているが、同時にアメリカ内部の人種の違い、すなわち黒人・白人の対立も絡んできており、当時の背景を上手くミステリとして活かしているといえる。
蒼井上鷹『ホームズのいない町 13のまだらな推理』
ホームズのいない町―13のまだらな推理 (FUTABA NOVELS)
- 作者: 蒼井上鷹
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: 新書
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野村美月『”文学少女”と神に臨む作家』上下
- 作者: 野村美月,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/04/28
- メディア: 文庫
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- 作者: 野村美月,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/08/30
- メディア: 文庫
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古処誠二『メフェナーボウンのつどう道』
- 作者: 古処誠二
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/01/11
- メディア: 単行本
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海堂尊『螺鈿迷宮』
- 作者: 海堂尊
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/11/30
- メディア: 単行本
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テーマとなっているのは終末医療に関わる問題で、医者でもある作者の示すその具体性にはリアリティが感じられる。門外漢の読者に対しては語り手のに落ちこぼれの医学生というキャラを設定することによって問題点をよりわかりやすくしようとしている。それのみならず、語り手の落ちこぼれ学生であるがゆえの甘さと現実の終末医療に従事する者たちの重い現実に対する受け止め方という対比が、問題の重大さ・深刻さを明確に浮かび上がらせている。これは視点設定の勝利といえよう。
キャラクターに関しては、「チーム・バチスタ」シリーズでおなじみの白鳥と姫宮が登場しておるがゆえにシリーズ読者はそれだけで楽しめるし、そうでない読者にとっても個性の強い人物が物語を牽引しているので作品世界にグイグイと引き込まれいくことになるであろう。特に姫宮はドジっ子看護婦というキャラで読者の目を引くが、終盤そのドジ自体が作品に欠かせない意味を持ち合わせてこととなっている。単に奇を衒ったキャラ設定で終わっていないのである。
アルフレッド・ベスター『分解された男』
- 作者: アルフレッド・ベスター,沼沢洽治
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1965/04/30
- メディア: 文庫
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作者がミステリ者であったのならば、ライクの犯行計画に力を入れたハウダニットとして作品を手がけていたかもしれない。しかしSF畑のベスターはその部分をあっさりと流し、以降のライクVSパウエルの駆け引きに筆を多く費やしている。その駆け引きも心理戦というには荒っぽい展開であり、繊細な展開を望む読み手にとっては辛い作品であるかもしれない。実際のところ読みどころとなっているのは追うパウエルの執念や追われるライクの焦燥、そして徐々に追い詰められていくライクの精神の行く末といった部分である。もちろん彼らの心情のあり方の根底にあるのはESPの持ち主が存在する世界という設定部分で、これを踏まえた上で繰り広げられる二人の物語を素直に楽しみたい。